写真は引き続きフランスです。
ノートルダム寺院にエッフェル塔です。
タイトルの「歯科は建築」ですが、
私がまだ学生の頃、先生が抗議で話されていた言葉です。
当時はあまりピンと来なかったのですが、
しばらく診療を続けて来た今は、その言葉に色々思うようになりました。
型をとってかぶせものを作る、入れ歯を作る「だけ」なら簡単。
それが長持ちしたり、見た目がよくなる為にはいろんな事を
計算して、設計図を考え、材料を選ばなければならないものです。
あとは何より土台が...。
痛い所だけ治療してくれればいいよ!と言う患者さんも少なからずいて、
患者さんの思う健康を尊重したいのですが
(痛くなければいい、というのも、一つ価値観だとは思うのです...)
私自身は長持ちして、快適に使える口の中は
しっかりした土地(歯肉)によく考えられた建築物(被せ物、入れ歯)
の両方が必要だと考えています。
あとはご自身の住まいを思い浮かべていただきたいのですが、
長く家を持たせていく秘訣はメンテナンスではないかと思うのです。
日々の手入れと、時々のリフォーム。
口の中という、じめじめした細菌が常にいる土地に建てる建物は
気にかけていてあげないと、じわじわとガタがきます。
小さなひずみを長く放置しておくと、それこそ多額の費用と期間のかかる
「辛い」治療になってしまいがちです。
以前に、10年以上前に被せものをしていた歯が駄目になった
患者さんが(保険外で治療された歯でした)
「この被せものは値段もしたし、一生持つものだと思っていたのに...」
と、お話されていました。
実際、この世の中に永遠と変わらずもつものがない、という前提でも
保険外(保険にしても)の「被せもの自体」はかなり長持ちします。
その被せものが駄目になる時は往々にして、その基礎となるご自身の
歯が虫歯や歯周病で駄目になっている時です。
快適な口の中は日々のメンテナンス(上手な歯ブラシ)と
時々の歯科医院でのメンテナンス(検診)が不可欠だと考えています。
長々と話してしまいましたが、
ご自身の住まいを大事にするように、ご自身の歯やお口の中も大事に
していただければ、
そしてそのお手伝いをさせていただければ幸いに思います。